カフェと一口に言ってもいろいろなお店があります。お値打ちなランチが魅力のお店、他所ではお目にかかれないおしゃれなデザートが人気のお店。そんな中で当店は「スペシャリティコーヒー専門店」と謳っています。本来なら「日暮館のこだわり」第1回目はコーヒーのお話からするべきなのでしょうが、今回はあえてパンのお話をします。
香り高いコーヒーと一緒に、モーニングを楽しんでいただきたい。これがこのお店をはじめた当初からの思いです。もちろん午後にホッと一息つく時のコーヒーの楽しさもあるのですが、その話はまたの機会に。当店のモーニングは、トーストの付け合わせにゆで卵やポテトサラダなど4種の中から2つを選んでいただいています。これは選べる楽しさを提供すると共に、好みの物ではない物をお出しして食べ残しされることを防ぐためです。メニューを提供する側にとって一番嬉しい事は全てきれいに召し上がっていただくことです(量の問題もあって難しいのですが)。そのモーニングの中で一番の主役はやはり焼きたてのトーストでしょう。
業務用のパンを扱っている業者さんはこの界隈でもいくつかありますが、当店ではガス釜で手作りされているパン屋さんの物を使っています。大手の業者のように電気釜でないので“鬆(「す」空気の隙間)”があったり、焼き上がりの形がいびつだったりするのですが、防腐剤など添加物を一切使っていないパンはほんのり甘く、ガスの遠赤外線効果で中がふんわりと焼けており、コーヒーをひきたたてくれると思います。
そして食パンを美味しくいただく秘訣は、極力乾燥させないことです。パンをカットするとそこからどんどん水分が失われていきます。通常モーニングには厚切りにスライスした三斤パン(スーパーなどで売ってる食パンのサイズ)を三角や台形に切った物を提供しているお店が多いようですが、当店ではカットしなくて済むように小さな一斤パンを使っています。そしてこの一斤パンもスライスせずに納品してもらい、モーニングの注文が入ってから店内で一枚ずつ包丁で切っています。手切りなので厚さや形が若干不揃いな時もありますが、そこはなにとぞご容赦ください。